電子政府インサイダー覆面座談会

ITMediaの記事 インサイダー覆面座談会「電子政府“無責任”の連鎖を断て!」から印象に残った発言を抜粋。CIO補佐官ら関係者4人の現場の声。

IT業界の問題点と、官庁の問題点の相乗効果ですごいことになっている。それゆえいろんな問題点が浮き彫りになっているともいえる。笑える話も多いが、笑えない。「全社一丸で頑張ります」なんてアホか?と思うけどこういう会社割とあるからね。

本来システム構築には、優秀な人材が不可欠なのに「所詮はバックヤード」という認識があるのがそもそもの間違い。そのうえ、免許制でもないから、何の教育も訓練もつんでない人間が専門家面しているのも問題。担当者レベルに目を向けると、日々の「作業」で疲弊して勉強する気概がない。そのまま、何年かするとブルーカラー気質が染み付いた「マネージャもどき」、「アーキテクトもどき」になって「がんばります」とか言ったりするわけだ。問題の根は深い。が、いろいろなレベルで改善していかなければならない。

  • EAにしろ、EVMSにしろ、PMBOK(プロジェクト管理・ボディー・オブ・ノレッジ)にしろ、この国は欧米の方法論を輸入する際に、みんな骨抜きにするんだよ。ここは要らない、これは適当でいいとなって、体系的な導入ができない。役人はもちろん、コンサルティング会社もベンダーも勉強してないから……。
  • 一般競争入札は善、随意契約は悪となると、一斉に禁止になる。政策がらみの調査や研究など知識業務は安ければいいというわけじゃないのに、振れ出すと止まらない。(中略)鉛筆買っているんじゃないんだからさ、値段だけで全部決めるなんて馬鹿な調達はないよね。
  • 多くのキャリア官僚にとっては、電子政府はバックヤードの話なんですよ。(中略)東大法学部出て国の政策に関わるために役所へ入ったのに、業務のシステム化なんてやってられるか、という気持ちがある。
  • PMOは情報システム部門ではなくて、総務課や秘書課、あるいは政策評価室といった役所の中枢部門が担当すべき
  • 先進国のIT調達をみてみると、だいたい財政関係の組織と連動しているんですよ。米国は行政予算管理局(OMB)だし、英国なら政府調達庁(OGC)。電子政府世界ランキング1位のカナダに至っては、カナダ予算庁(TBCS)が完全に主導権を握っていて、システム開発予算の20%を最適化計画の策定に使えとガイドラインで定めている。日本は3、4%しか使わないから、絵に描いた餅の計画しか出て来ないんだよ。
  • システムエンジニアのスキルは落ちてるよ。人月単価で見積り出すから、クオリティが低いほどカネがかかる。
  • 某大手ベンダーのように、自社のERPソフトを売ることしか考えてないところもある。そのくせ、プロジェクトチャーターも、プロジェクト計画書も分からない。あるベンダーに、プロジェクト憲章はどうなっているのって聞いたら、「全社一丸で頑張ります」だって……(笑)。
  • 丸投げの請負契約をいいことに、中国やインドの下請けソフトハウスに発注していることです。行政機関のシステムを海外に発注するのはセキュリティ上問題